山岳遭難・山岳事故 備忘録

過去の山岳事故・遭難の取りまとめBLOG

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上ホロカメットク遭難

新聞の第一報(北海道新聞4月23日)
十勝岳温泉付近で男性が行方不明に
 【上富良野】道警旭川方面本部と富良野署に入った連絡によると、旭川市豊岡一二ノ九、旭川市職員米川元章さん(56)が上川管内上富良野町の十勝岳温泉のホテル駐車場に車を止めたまま、行方がわからなくなり、同本部などは二十三日昼、十勝岳か富良野岳に入山して遭難した可能性があるとみて、ヘリコプターなどで捜索を開始した。
 職場の同僚が、米川さんが月曜になっても出勤してこないため、「登山中に何かあったのではないか」と同本部に届け出た。



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捜索状況:
4月23日
昼から行われたヘリコプターによる初期捜索は空振り。凌雲閣に捜索本部設置。
警察官二名が捜索のために入山したが、手がかり無し。
HYML等を通じて広く情報を求めたが、有力な手がかり無し。目撃者無し。入山地点以外はすべて不明。

4月24日
凌雲閣より、午前六時から遭対協、警察など約30名が安政火口捜索隊、上ホロ捜索隊(私を含む)、富良野岳捜索隊に分かれて捜索を行った。
この時点ではまだ視界が良かったが、強風のためヘリコプターは高度を上げられず凌雲閣~三段山付近でしか活動できなかった。上ホロ捜索隊が米川さんのものと思われるスノーシューの踏み後を発見したが、すぐに消えてしまった。
次第に天候が悪化して捜索が困難になってきた、上ホロ隊が上富良野岳ピーク付近に達した午後一時三十分に、富良野岳捜索隊が上富良野岳直下、三峰山沢上部1770m地点で米川さんの遺体を発見した。直後に無線連絡を受けた上ホロ捜索隊が現地で合流し、共同で遺体の搬出作業を行った。搬出作業は悪天候の為に困難を極めた。温泉沢付近で安政火口捜索隊とも合流して遺体を担架に移し替え凌雲閣へ帰還した。

捜索時の気象状況:
捜索は、視界5~10m、風速15~20m、気温-5度という悪条件下で行われた。
トラック図で一部引き返したような軌跡があるのは、視界不良がひどくて、本隊のたった5メートル先で凌雲閣の主人と共にルートの偵察をしていた私が、本隊とはぐれてしまった跡である。また捜索隊のうち一名が遺体搬出中に谷へ転落してしまった。結局捜索隊に二名の負傷者が出た。

遺体の状況:
頭部を上富良野岳の方向へ向けて岩の間で倒れていた。姿勢は左手を枕にし、右手にはストラップで括ったアイゼンを持った状態だった。また、遺体は完全に凍結した状態だった。
損傷は、左額一部陥没、顔面に擦傷、左足首解放骨折。額には自力で止血処置がなされていた。足元の岩にはおびただしい血痕があった。
死因は凍死。死亡推定時刻は22日夕方。

遺留品:
捜索当日には発見できなかったが、後日4月29日にピッケルとテルモスが発見された。
テルモスは遺体発見現場のすぐそば。キャップが外された状態で、中には紅茶が半分程入っていた。
ピッケルは遺体発見現場より数十メートル上方の雪渓の中に落ちていた。ピッケルには、ホイッスルと手首バンドが取り付けられており、その手首バンドからは肩紐が伸びていた。通常は肩ひもをたすきがけにして携帯していたと思われる。
オーバーミトンはボロボロになっており、両手で滑落を停止しようとした痕跡があった。
さらに後日、かなり下方の尾根上でスノーシューが発見された。

推測される4月22日の遭難時の状況:
(付近を登っていた登山者によると当日の気象状況は、朝方晴れ。11時頃よりガス、吹雪模様となる。
気温は、当時稜雲閣で-10度、遭難現場で推定-15度。風速10メートル前後だったと思われる。
視界は前十勝で10メートル程度のホワイトアウト。美瑛岳では上部で20メートルくらい、森林限界では3~40メートルくらい。
積雪は一時間で5~6センチに達し、アイスバーンの上に10センチ程度の雪が積もり、非常に滑りやすい状況。雪は表層雪崩が起きやすい状況になっていた)

米川氏は、22日の午前8時に、単独で十勝岳温泉凌雲閣駐車場に車を置き、スノーシューを装着して温泉沢からD尾根沿いに上ホロカメットク山へ出発した。この時点では天候は晴れていた。
途中でスノーシューからアイゼンへ履き替え、11時頃に上ホロカメットクへ到着。この頃から急に天候が悪化してきた。パン等を食べた後(ザックの中に空き袋があった)、下山開始。
そのころには、すっかり吹雪となり視界は10~20メートルのホワイトアウト状態。
雪面は、アイスバーンの上に10センチ程度の雪が積もり、非常にスリップしやすく、表層が雪崩れやすい状態になった。
12時前後に、上富良野岳直下もしくは八つ出岩付近で、足を踏み外すか転倒するかして三峰山沢の一の沢へ滑落。
滑落中にアイゼンが雪面に引っかかってもんどり打ち、右足足首解放骨折。ピッケルが失われ、有効な滑落停止手段が無くなってしまった。
両手で雪面を引っ掻き、顔に擦傷を作りながらさらに滑落。三峰山沢上部1770m、沢が狭まり岩が露出している地点で、岩に激突して停止。
その際に、左額上部に陥没骨折。
滑落停止後、タオルを頭部に巻いて止血し、テルモスからお茶を飲み暖をとった。
骨折した方の足からアイゼンを外して右手にくくりつけ、元のコースへの復帰を試みたが、滑落停止位置からほとんど動くことができずにそのまま意識を失い、ビバーク体制を取れないまま、夕方頃に凍死してしまった。

装備:衣類は、ヤッケの上下を着用しており完全な冬山装備。
12本爪ワンタッチアイゼン、ピッケル、スノーシュウ、ザックの中にはシュラフカバー、テルモス、食料、カメラ、地図、ホイッスル、コンパス

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[ 2001/04/22 00:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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