山岳遭難・山岳事故 備忘録

過去の山岳事故・遭難の取りまとめBLOG

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八甲田雪中行軍遭難事件 原因

原因
原因は諸説あるが、決定的な原因ははっきりしていない。それを踏まえて、現在唱えられている原因を列挙する。

気象条件
雪中行軍が行われたのは、冬季によく見られる典型的な西高東低の気圧配置で、未曾有の寒気団が日本列島を襲っていた時で、日本各地で観測史上における最低気温を更新した日でもある(旭川で1月25日、日本最低記録である-41.0℃を記録した)。青森の気温にしても例年より8~10℃程低かった。行軍隊の遭難した山中の気温は、観測係であった看護兵が記録も残せず死亡したため定かでないが、-20℃以下だったとの推測を青森5連隊が報告書の中で残している。この過酷な気象条件が遭難の一大要因と考えられる。

稚拙な装備
雪中行軍時、将兵の装備は、特務曹長(准士官)以上が「毛糸の外套1着」「毛糸の軍帽」「ネル生地の冬軍服」「軍手1足」「長脚型軍靴」「長靴型雪沓」、下士卒が「毛糸の外套2着重ね着」「フェルト地の普通軍帽」「小倉生地の普通軍服」「軍手1足」「短脚型軍靴」と、冬山登山の防寒に対応しているとは言い難い装備であった。とくに下士官兵卒の防寒装備に至っては、毛糸の外套2枚を渡されただけである(当時の日本陸軍の軍装については日本陸軍の軍服も参照)。倉石大尉はゴム靴を持っていたことが結果として凍傷を防いだと言われるが、これは正月に東京に行った際にたまたま土産物として買っていたものであった。当時はまだ日本においてはゴム靴というのはハイカラな靴(いわゆるファッションブーツ)として扱われていたにすぎず、倉石大尉が本行軍で履いていたのは単なる偶然である。

指揮系統の混乱
雪中行軍隊の総指揮者は行軍隊隊長の神成大尉であるが、これに山口少佐と若干名の大尉が行軍隊付きとして同行する形になった。責任者は神成大尉ではあるが、階級と本来の職務の関係からすると山口少佐は上司にあたり、同行してきた大尉達は神成大尉と同格の指揮官になる。これが結果として情報伝達の不備、意思決定の不統一になった。

極端な情報不足
神成大尉が雪中行軍隊の指揮を任されることになったのは、行軍実施の直前である。それまでの担当者は夫人出産の立会いのため、任を解かれる形となる。その為、実際の雪中行軍に対して神成大尉は何も予備知識を持たないまま準備作業に入るが、準備作業としては、予行演習の日帰り行軍を小峠まで小隊編成で行ったのみである。その行軍自体が晴天下で行われた事もあり、冬山登山や雪中行動の基本的リスクの抽出が結果として行われなかったことになる。

認識不足
雪中行軍参加者のほとんどは岩手県、宮城県の農家の出身者であった。いかに寒冷地の出身者と言えども、普段冬山に接する機会などない者が多く、このような者は厳冬期の八甲田における防寒の知識など皆無に等しかった上、雪中行軍をトレッキングと同列に考えている者が多かったといわれる。第5連隊では、出発の前日に壮行会が開かれており、深夜まで宴会が行われていた事も、「過酷な行軍」との認識が希薄だった事をうかがわせる。長谷川特務曹長は「田代といっても僅かに5里ばかりで、湯に入りに行くつもりで、たった手ぬぐい1本を持っただけだった」と語っている。なお、長谷川は軍銃の皮を足に巻き凍傷を防いでいた。

遭難始末によれば、“山登り”という事で履物を普段の皮製の軍靴から地下足袋に換えて参加した兵士も何名かいたことが確認されている(氏名までは不詳)。生存者の小原伍長の証言によれば、誰も予備の手袋、靴下を用意しておらず、装備が濡れてしまったら換えはなく、そこから凍傷が始まり、体温と体力を奪われ凍死していったという。小原伍長自身も「もしあの時、予備の軍手、靴下の一組でも余計にあれば自分は足や指を失わなかっただろうし、半分の兵士が助かっただろう」と後年、供述している。

兵卒の生存者は全員山間部の出身で、普段はマタギの手伝いや炭焼きに従事している者達だった。彼等は冬山での行動にある程度習熟しており、「足に唐辛子を擦り付けて、足温を安定させる」「足に油紙を巻いて水分の浸入を防ぐ」「肌着と衣服の間に新聞紙を仕込んで、体温の安定化、寒気の遮断をする」「食料(握り飯)に油紙を巻いて凍結を防ぐ」等の独自の耐寒装備をしていた。将校の生存確率が高いのも、兵卒より防寒機能が高い装備が一因と言われている。
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[ 1902/01/23 00:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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